死にたい夜にかぎって

自分の人生はなんてつまらないんだろう。

他の人に比べたらまだマシだと思っていた。普通のレールからは外れた気がするし。
もともと安定とかが大嫌いだ。安定してるからという理由で公務員になるようなやつはもっと嫌いだ。
高校卒業したら、大学に進学し、その後就職。何の疑問も持たず、そんな人生を続けるなんていうつまらない選択をするのが本当に嫌だった。つまらん。たった1度きりの人生、そんなんじゃつまらんだろ。
だからこそ、そうじゃない生き方をしようと実践しているんだけど、それでも僕の人生はつまらないんじゃないか。人生なんて波乱万丈くらいがちょうどいい、そう思っている。

自分の人生がつまらないのではないかと思わされたのは、「死にたい夜にかぎって」を読んだからだ。

表紙

これはエッセイなのか。文体は小説のような感じもするし。ならば私小説か。そんなことはどうでもいいんだけど、こういう人生を送っている人がいるんだなということがなんだか羨ましくもあった。自分の人生を振り返ったところで、このような文章が出来上がることはまずない。

若い頃の貧乏なエピソードはやっぱり東京という場所が似合う。僕は東京に住んだことがないし、実際に経験もしていないんだけど、やっぱりそういうのっていいなと思う。夢追いかけて東京に出て、夢が叶わなかったとしても、その経験は誰もが得られるものではない。

そんな人生がなかなかうまくいっていない時期の恋愛とか最高なんじゃないだろうか。当時は気づかないかもしれないが、のちに振り返った時にたくさんのエピソードが生まれているはずだ。これぞ、まさに青春。残念ながら僕には青春などと呼べるエピソードは1つもない。

この本に書かれている内容は恋愛が中心なんだけど、こんな経験をしてる人がいるのかと思うと、やっぱり自分ってつまらないんだなと思わされる。作者は世代的にはほんの少し上なんだけど、同時代を生きていたから、時代背景もはっきりとわかるし、余計にリアリティがあった。

なんだかとてもいいものを読ませてもらった。
2018年何冊本を読んだかわからないけれど、年末に読んだこの本が今年読んだ中で1番だ。