誰とも話をしない生活に突入して早1か月半以上が経った。
要するに無職になってからの期間である。
声を発することなく終える1日なんてのはしょっちゅうあって、それはそれで問題はなかったのだけど、ついに問題が発生してしまった。
発声問題発生である。
どんな問題かというと、だいたい想像はつきそうなものではあるが、いざ誰かと会話になった時、声が出ないのだ。本当に出ない。自分でも声が出ているのかよくわからないという感覚にまでなってしまった。私の声は目の前の相手に届いているのだろうか。聞き返されないということは聞こえていると理解していいのかもしれない。
しかし、私自身は人が話している声が聞こえなかったときに聞き返すという習慣がない。何を言ったかわからなくても、だいたい愛想笑いで返すことにしている。結構失敗することもあるのだが、もうそれはそれでいいと自分に言い聞かしている。そもそも聞き逃したら困る、大事な話なんていうのはそう多くはないのである。
何か質問されて返答しなくてはいけないときに愛想笑いをするというのが一番の失敗なのだが、実際そのような失敗は数多くしている。それでも反省しないのが私だ。
「お弁当温めますか？」
「えへへ」
「お箸お付けしますか？」
「えへへ」
もう変態の域である。
話が逸れているが、とにかく声が出なくなったのだ。
もし、どこかから私の声が聞こえてきたらぜひ報告してほしい。
報告されても愛想笑いでしか返せませんが……。
