リトリートの旅に出てみた

2023年末のお話。
僕はリトリートの旅に出た。

リトリートがどういう意味かわからない人はネットで検索していただくか、以前書いた記事を参照してもらえれば。僕もこのときに初めて知った言葉だ。

初めて知る言葉

2023.05.12

いろいろなことに疲れていた僕は長めの休みをとって旅に出ることにした。そう決めるとまず最初にすることはどこに行くかを決めなければならない。今回の旅は特に何をするでもなく、ただただ自分と向き合う時間を取りたかった。だから行く場所はどこでもよかった。わざわざ時間をかけて移動する必要もないかなと考えて、京都を検討したりもした。旅行といっても、観光するわけではない。なので重要なのはどのような部屋に泊まるかということ。場所よりも宿泊する環境で選ぶことにした。おそらく外出もそこまでしないだろうという考えだった。ならば部屋から海が見えるところがいいなと思ったりしていろいろ調べてみる。なかなかいいところが見つからないなと思って、滋賀だったらレイクビューが叶う部屋があるのではないかと思って探したりもした。

そんなこんなでいろいろ検討して、宿泊する場所を決めた。きれいな海の景色とは言えないが、部屋の窓から海が見えるところをおさえた。場所は岡山県にある宇野港。宇野港といえば、直島や豊島に行くときにここから船に乗る。何度訪れたか把握できないくらいには来ているが、さすがに宿泊はしたことがない。はっきり言って、宇野には何もないだろうと思った。だが、それでいい。出かけたくなるスポットがあると今回の旅の意味がない。予約した部屋にはテレビもない。嫌というほど自分と向きあえる環境だ。

着替えもほとんど持たず、3冊の本をリュックに詰めて出発した。本当はスマホすら手放したいところではあったが、現代でそれはなかなか難しく断念。目的の場所に着いたところで何もしない。

知らない間に40歳になってしまった。特に何も成し遂げていない。自分がやりたいこともできていない。ただただ同じような日々を繰り返し、同じように1年が過ぎ去っていく。これでいいはずがない。人生100年時代といえど、健康寿命で考えると残された時間はあとわずかである。もっと自分のやりたいことをやって充実した日々を送らなくては。考えるのはこのようなことばかり。

生きていくためにはお金がかかる。生活するために仕方なくお金を稼ぐ。どうせお金を稼ぐならやりたくもないことをやるのではなく、自分が本当にやりたいことをやった方がいい。もし、今ベーシックインカムが実現したら、毎日の過ごし方が変わる人はどれだけいるだろうか。少ないお金でもそれで生活がしていけるということになれば、今の仕事を辞める人は多いのではないか。ジョブズの言葉を借りるが、明日死ぬとしたら今日1日の過ごし方が変わる人がほとんどなのではないか。

ひたすら残された人生をどう生きるかを考えた。今までいろいろやりたいことはあったが、挑戦せずに諦めたこと、挑戦したけどうまくいかなかったこと、様々な経験をして今がある。そして現時点で、自分がこれから何をしていこうかということが見えてきた。あとは自分の努力次第といったところだろうか。この歳になれば努力をしてもなかなか難しいことがあるということは理解している。それでも自分の向かっていく先が見えただけでもありがたいというものだ。なんとか現状を打破したい。

旅の話に戻ると、本当に何もしていなくて、調べていたおいしそうなご飯屋さんは年末で休みに入っているし、おいしいご飯にありつくこともできず、本を読むか、散歩するかみたいな過ごし方をした。ご飯屋さんに至っては3軒くらいよさげなところがあったのにどこも休みだった。それもそうである。もうこの時期に宇野に観光客の姿なんてまったくない。いても数人、外国人がいるくらいだ。なんせ、人が多いのが嫌いなので、平日を選んだというのもある。何もしていないから暇かといえば、そうではなく書いたとおり頭の中はぐるぐるぐるぐる思考していた。なかなかこのような時間を作ることはできないし、とてもいい時間だった。

実はこの旅の1週間前には瀬戸内海の生口島で1泊してきたところ。そのお話はまた機会があれば。