経済的自立と早期リタイアを目指して|シン・ファイヤー

稲垣えみ子さんと大原扁理さんの本『シン・ファイヤー』を読んだ。

FIREに関する本のようだが、いわゆるFIREの本ではない。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味している。

当然ながら僕もFIREしたいなぁと思いながら投資に勤しんでいたりするわけなのだが、同時に稲垣えみ子さんや大原扁理さんのような生き方を目指していたりもする。

稲垣えみ子さんは元々は朝日新聞に勤めていたが、節電生活をきっかけにあまりお金を使わないような生活に突入し、朝日新聞を退職後は冷蔵庫などもない生活をしている。僕は「情熱大陸」で観て稲垣さんのことを知ったのですが、その後著書を何冊か読んで、とてもいい生活をしているなぁと思っている人。
大原扁理さんのことはたまたま本屋で「年収90万円で東京ハッピーライフ」という本を見つけて知った。この本以外にも何冊か読んだが、大原さんの生き方もとてもいいなぁと思っている。

FIREは若いうちに働いて投資元本を蓄財し、運用益で生活できる目途が立った段階でリタイアするスタイルなので、あくまでお金が必要。対して稲垣さん、大原さんの2人はほとんどお金を必要としない生活をしている。そんな2人がFIREについて対談しているのが、今回読んだ『シン・ファイヤー』というわけ。

FIREとこの2人の生活はお金という観点で見るとまったく真逆のように見えるんだけど、僕の中ではどちらも憧れる生き方。まぁ、簡単な話、極力働きたくないって話なんだけど……。正確にいうと、人生において自分のやりたくないことをやっている時間って無駄だよなぁと思っているので、お金のためにやりたくないことをやりたくない。なので、やりたいことをやって働くのは全然OKと思っていて、労働が嫌いというわけではない。人生って短いからやりたくないことやってる時間ってどう考えても人生の無駄遣いとしか思えないわけ。

そんな僕にはぴったりな本だと思って手に取ったんだけど、これが結構分厚くてびっくりした。でも対談が文字起こしされているだけなので、とても読みやすい本でした。

この本の冒頭、「はじめに」の項に書かれているのが下記内容。

 FIRE、すなわち「経済的に自立して何ものにも縛られず自由に生きる」という選択肢を持つことは、これからを生きるすべての人に必要なことなのだと思います。

 でもこの本で我らが唱えるFIREは、巷で唱えられているFIREとは明確に一線を画すものであります。

 いま世に出回っている多くのFIRE本は、結局のところ金融投資の話です。お金に振り回される人生から自由になるために、お金を貯める・増やす・キープする。つまりは「お金さえあれば、お金から自由になれる」。それが従来唱えられてきたFIREの基本思想です。
 でも、我らはそれとは全く別のことを熱く主張したいのです。なぜなら、実はお金を貯めただけではお金から自由になることなどできないから。その具体的な理由は本書を読んでいただければわかりますが、ひとつだけ申し上げれば、お金とは「あってもあっても足りなくなる」というフクザツな側面を持っているのです。これは本当に肝心なところで、この矛盾から目を背けていては、決して真にお金から自由になることはできません。

 でも、落胆する必要はありません。

 お金を貯めなくても、誰だってお金から永遠に自由になることができる。お金に振り回され続ける人生から自由になることができるのです。そんなウマい話があるわけないと思われるかもしれないが、本当のことなんです。なぜってそれは、我ら年齢も境遇も性別もまったく違うふたり、すなわち、経済成長期に育ち競争社会をそこそこ勝ち抜いた「元エリートサラリーマン」である私と、かたや成長なき時代を生き競争からドロップアウトした「元ワーキングプア」である大原さんが、それぞれ違うきっかけからそれぞれにお金と格闘し、体を張ってつかみ取った「共通の結論」なのですから。

 あとは、ぜひこの本をお読みいただければと思います。正直、私もこれほど違うふたりがこれほど同じことを考えていたことに驚いたし、あらためて自分のやり方は間違っていないのだと確信を得ることができました。きっと、大原さんも同じ思いであったと思います。そのふたりの驚きと気づきをシェアできればこれほど嬉しいことはありません。

どうやって自由な人生を手に入れようかと考えるいい機会になるのではないかと思います。アプローチの方法は人それぞれ。僕もいろいろと模索しながら毎日を生きています。ただもう40代に突入していますからね。人生100年時代とはいえ、健康寿命でいえばそこまで長くないし、元気なうちに自由を手に入れて楽しい人生を送りたいなと考えているところです。